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同じ病気でもその症状は人によって違う~正確な判断と適切な治療を受けるため、まず症状画像写真で確認を!

   
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「皮膚がん」とも言われる皮膚悪性腫瘍はよく見られる皮膚疾患の一つ。高齢者、顔面によくみられますが、疾患によっては、あらゆる年齢と部位にみられることも。時として感染、出血を合併します。実際の症例画像を挙げながら、皮膚悪性腫瘍の症状、予防法、治療法を解説します。

皮膚悪性腫瘍の中でも頻度が高く重要なものとして、基底細胞がん、有棘細胞がん(扁平上皮がん)・悪性黒色腫(メラノーマ)の3種類が挙げられます。代表的なこれらの皮膚悪性腫瘍について、以下で説明します。

基底細胞がん
基底細胞ガン

60歳男性の頬部に生じた基底細胞がん 黒色班の中央に皮膚潰瘍があり そこから出血が見られました


皮膚がんの中で一番頻度の高い腫瘍。中高年の顔面に好発します。特に頬部、眼瞼、外鼻などによく見られます。この癌の特徴として、転移をきたすことは非常に少ないのですが、局所で浸潤し、深部に癌が広がる性質があります。高齢者でよくみられる疾患ですので、手術をうけないで放置してしまう方もいます。放置すると、大きな腫瘍となり、最終的には肺転移などで亡くなることも。「基底細胞上皮腫」という別名があります。この疾患が悪性でないという理由でこの病名を使用する医師がいますが、最終的に転移する悪性腫瘍ですので、完全な誤りです。

■基底細胞がんの原因
紫外線の関与が示唆されています。日本人では紫外線を浴びやすい顔面によくみられます。一方、白人の場合は、1/3の割合で紫外線の関与が少ない体幹に発生するため、紫外線以外の遺伝的な素因が考えられます。もちろん日本人でも1/3の頻度はありませんが、紫外線にあたりにくい部位でも発生がありますので、注意が必要。

■基底細胞がんの診断
皮膚炎、外傷後の瘢痕などとは外観から鑑別することは非常に難しいので、生検(組織検査)が必要。外来で局所麻酔を使用して短時間に可能ですので、気軽に病院を受診して下さい。結果は1週間以内に出ることが多いです。

■基底細胞がんの病理所見
組織写真

基底細胞がんの組織写真 矢印の部分が柵状配列

表皮基底細胞に類似した腫瘍細胞の増生、大型の核、細胞質の減少を認めますが、異型性は低度です。基底層では、細胞が柵状に配列している所見があります。上記写真の矢印に見られます。腫瘍の中にメラノサイトを認め、腫瘍は外見上黒く見えます。黒い腫瘍(腫瘤や潰瘍の形をとるなど様々)をみたらまずこの基底細胞がんを考えます。

■基底細胞がんの予防法
紫外線から体を守ることが基本。帽子、日焼け止めクリーム、パラソルなどが必要です。

■基底細胞がんの治療法
手術が基本。通常1、2回の手術で完治しますので、手術をお勧めします。全身麻酔が難しい方でも、局所麻酔で手術が可能な場合もありますので、手術療法を検討することがベストな選択といえます。皮膚の切除範囲ですが、周囲に浸潤する傾向は弱いので、5mm程度の正常皮膚を含んで腫瘍切除を行います。

■基底細胞がんの予後
早期に切除すれば、ほとんど完治。発見が遅れても、広範囲の切除で治癒する可能性が高いです。ごく稀に切除が行われず、転移を生じた場合は予後不良。

有棘細胞がん(扁平上皮がん)
有棘細胞ガン

70歳男性の頬に生じた有棘細胞がん 色調はピンク色で隆起があります 中央に潰瘍が見られます


次に頻度が高く、悪性度も中間のがん。高齢者の顔面、四肢に好発します。このがんの特徴は、進行すると、リンパ節転移、血行性転移(肺転移、脳転移、肝転移など)をきたすこと。局所では浸潤し深部に進行するとともに、腫瘍の中央が潰瘍化し悪臭を発するようになります。

■有棘細胞がん(扁平上皮がん)の原因
紫外線、砒素、タール、外傷、熱傷、放射線、色素性乾皮症、白板症、尖圭コンジローマ(ヒト乳頭腫ウイルスが原因の感染症)、扁平苔癬、免疫抑制剤などが原因となります。日本人では紫外線の関与する顔面によくみられます。

■有棘細胞がん(扁平上皮がん)の診断
この疾患も皮膚炎、外傷後の瘢痕などとは外観から鑑別することは非常に難しいので、生検(組織検査)が必要。外来で局所麻酔を使用して短時間に可能ですので、気軽に病院を受診して下さい。結果は1週間以内にでることが多いです。
リンパ節転移、血行性転移を確認するため、レントゲン、CT、MRIなどの検査が必要です。

■有棘細胞がん(扁平上皮がん)の病理所見
組織写真

有棘細胞がんの組織写真


異型ケラチノサイトの増生、大型の核、核異型、癌真珠を認めますが、異型性は高度から低度のものまで様々。

■有棘細胞がん(扁平上皮がん)の予防法
紫外線から体を守ることが基本。帽子、日焼け止めクリーム、パラソルなどが必要です。古い外傷や熱傷の傷が治癒しないまま経過すると有棘細胞がんを生じますので、そのまま放置しないで手術により傷を完全に治癒させることが必要。

■有棘細胞がん(扁平上皮がん)の治療法
手術が基本。進行度に応じてリンパ節郭清が行われます。放射線治療、化学療法(抗ガン剤)が有効。皮膚の切除範囲ですが、周辺に浸潤する傾向が強いため1、2cmの正常皮膚を含んで腫瘍切除を行います。

■有棘細胞がん(扁平上皮がん)の予後
転移のない初期のものは手術で比較的コントロール良好です。転移のあるものは予後不良。

悪性黒色腫・メラノーマ
悪性黒色腫

50歳女性の頬に生じた悪性黒色腫


3番目に頻度が高く、悪性度が非常に高い腫瘍です。表皮と真皮の境界にあるメラノサイト(メラニンを産生する細胞)が悪性化したもの。リンパ節、血行転移を生じやすく、肺、骨、肝臓などの臓器に転移して死亡する可能性の高い腫瘍です。

■悪性黒色腫の原因
紫外線、砒素、外傷、熱傷、放射線、色素性乾皮症などが原因となります。日本人では四肢末端部に多いです。皮膚のメラノサイトが存在する場所ならどこにでも発生する可能性があるので、臍、肛門、唇、鼻の粘膜などにも発生します。

■悪性黒色腫の診断
視診ではABCDEというサインが重要です。
  • A ( Asymmetry )……非対称形
  • B ( Border )……境界不整形
  • C ( Color )……複数の色
  • D ( Diameter )……長径6mm以上
  • E ( Enlarging )……拡大傾向
これらの条件を満たす場合、悪性黒色腫の可能性が高くなります。特に注意する点はDですが、早期に悪性黒色腫を発見するためには6mm以下の段階で診断することが時として必要です。ですので、この条件は必要条件ではありません。また分類の項ででてくる結節型黒色腫はこれらの条件を満たしません。

視診の次に、ダーマスコープ(拡大鏡)により皮丘優位の色素沈着、異型網状の色素沈着などが悪性黒色腫に特有の所見で、この所見があれば悪性黒色腫を強く疑います。

さらにこの疾患もホクロ、基底細胞がん、脂漏性角化症などとの鑑別が難しいこと、進行度を判定するために生検が行われます。ただし生検後早期に根治的切除を施行する必要があります。外来で局所麻酔を使用して短時間に可能ですので、気軽に病院を受診して下さい。結果は1週間以内に出ることが多いです。

リンパ節転移、血行性転移を確認するため、レントゲン、CT、MRIなどの検査が必要です。

■悪性黒色腫の病理所見
組織写真

悪性黒色腫の組織写真 腫瘍細胞内に黒色のメラニン色素が多数認められます


様々な形の異型メラノサイトが増殖し、大小いろいろな大きさの胞巣を形成しています。

■悪性黒色腫の分類
結節型黒色腫( NM )--ドーム型の病変で、潰瘍を伴うことが多いです。すぐに垂直に浸潤するため、比較的早期に転移をきたし、予後不良。
結節型黒色腫

70歳男性の胸部に発生した 結節型黒色腫


表在拡大型黒色( SSM )--色素班が出現してから、数ヶ月程度で水平方向に拡大。やがてその一部が盛り上がり水平方向に進展します。
表在拡大型黒色腫

75歳女性の頬に発生した 表在拡大型黒色腫


末端黒子型黒色腫 ( ALM )--四肢末端や手足の爪に好発。薄い褐色班が始まりで、数年で水平に拡大。その後結節が生じます。日本人で多い型。
末端黒子型黒色腫

70歳男性の爪に発生した 末端黒子型黒色腫


悪性黒子型黒色腫 ( LMM )--黒い斑点が出現し、数十年かけて増大。顔面に多いです。
悪性黒子型黒色腫

70歳男性の頬に発生した 悪性黒子型黒色腫


■悪性黒色腫の予防法
紫外線から体を守ることが基本。帽子、日焼け止めクリーム、パラソルなどが必要です。古い外傷や熱傷の傷が治癒しないまま経過すると悪性黒色腫を生じますので、そのまま放置しないで手術により傷を完全に治癒させることが必要。

■悪性黒色腫の治療法
手術が基本。放射線治療、化学療法(抗ガン剤)が有効。周辺の組織に浸潤する傾向が非常に強いので、正常皮膚を5cm程度含めて、広範囲に腫瘍摘出を行います。

■悪性黒色腫の予後
転移のない初期のものは手術で比較的コントロール良好です。転移のあるものは予後不良。

それ以外の皮膚悪性腫瘍

皮膚悪性腫瘍の中で進行が早く、転移の可能性も高い腫瘍として、メルケル細胞がん、悪性繊維性組織球腫(MFH)、類上皮肉腫、滑膜肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫、Kaposi肉腫、皮膚悪性リンパ腫、菌状息肉腫などがあります。進行して発見されることが多く、注意が必要。早期発見が望ましい悪性腫瘍です。

ケラトアカントーマ、脂腺がん、乳房Paget病、乳房外Paget病、皮膚粘液がん、隆起性皮膚繊維肉腫は比較的予後良好な腫瘍です。
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